蕨野の棚田

蕨野の棚田

 棚田のある蕨野集落は、松浦川の支流、平山川沿いにあります。集落から八幡岳に向かって小さな谷に沿う5つの字大平、石盛、南川原、下ノ木場、九郎谷の５つの谷部に棚田が広がり、その間の尾根筋には杉、檜、クヌギなどからなる里山、そして八幡岳の中腹から山頂には自然林が広がっています（八幡岳県立自然公園）。
 山城の城壁に喩えられる石積みの棚田は、開墾時の自然石（松浦玄武岩）の野面積みです。各所に、暗渠（あんきょ）と呼ばれる地下式の水路が張り巡らされています。このような石積み棚田は、江戸時代後期まで遡りますが、八幡岳山麓に溜池を築いた明治・大正期に拡大し、生活雑排水の入らない水と昼夜の寒暖差により、良質の棚田米として生産・販売されていいます。
 集落では、石積み棚田の造成にまつわる協働作業（「手間講」）の伝統を受け継ぎ、棚田を守り、未来に継承する活動を続けてきました。棚田ウォーク、棚田のライトアップコンサートなど、都市との交流事業をおこなっています。佐賀県内の企業・団体による援農（棚田ボランティア）、障がい者の就労支援を兼ねた作業委託、佐賀大学の学生との援農や交流も盛んに行われています。